製本図面や大判の資料、書道作品や絵画作品、ポスター、地図など、「大判の対象物をスキャンでデータにしたい」といったご希望をお持ちの方がたくさんいます。
一方で、大判スキャンサービスを行っている業者に依頼して、きれいな状態でスキャニングや保管をしたいけれど、その費用が気になって相談するのをためらっている方も多くいます。
そこで今回は、大判スキャンの費用の目安とコストを抑える方法について、詳しくご紹介します。
大判サイズのスキャンを検討される際の参考にしてください。
1.業者に頼んだ場合の大判スキャン相場は?
業者に大判スキャンを依頼する際、1枚あたり以下の費用がかかります。
「オーバーヘッドスキャナー」製本図面・大判冊子原稿向け
■モノクロの場合
・A2・B3:150円~
・A1・B2:200円~
■カラーの場合
・A2・B3:250円~
・A1・B2:300円~
「フラットベットスキャナー」大判製本図面向け
・A2・B3:300円~
A1・B2:400円~
「シートフィードスキャナー」
■モノクロの場合
・A2・B3 180円~
・A1・B2 300円~
・A0・B1 400円~
■カラーの場合
A2・B3 360円~
A1・B2 600円~
A0・B1 800円~
「高解像度フラットベッドスキャナー」
~A1:4200円~
A0・B1:8400円~
※上記金額はあくまでも目安です。
大判スキャンを依頼する場合、そのサイズやモノクロかカラーか、使用する機器によって金額が異なります。また、依頼する量によって単価が大きく変わるので、事前に価格を確認しておくことが重要です。
1枚あたりの金額とは別で基本料金が設定されている場合や、最低発注金額が決められていることもあります。これは業者ごとに異なるため、事前に確認するとよいでしょう。
依頼数が少ない場合、最低発注料金があると依頼のハードルが高くなるかもしれません。
業者によっては、スキャンする対象物に応じた対応機器が自社にない場合、他社への再依頼でマージンが発生することがあります。
コストを抑えたいなら、自社で様々な種類のスキャナーを保有している業者を選びましょう。
2.大判スキャンのコストを抑える方法
大量の書類や図面の大判スキャンは、できるだけコストを抑えたいですよね。その費用を抑える方法をご紹介します。
2-1.まとめて依頼する
スキャン業者の料金形態は、枚数が多くなるほど費用が安くなるシステムの場合が多いです。
通常は1枚250円程度のモノクロスキャンが、5000枚を超える場合は100円で対応してもらえるケースもあります。段ボール数箱分の書類や、倉庫に眠っている図面を一括でなど、大量に大判スキャンしたいものがある場合は、まとめて依頼することで費用を抑えられます。
基本料金が1回分で済む場合が多いので、そこもおすすめポイントです。
2-2.相見積もりを取る
大判スキャンの料金は、業者によって大きく異なります。
また、保有しているスキャナーの種類もそれぞれ異なります。高解像度での大判スキャンを検討している場合は、高機能なスキャナーを所有している業者を選ぶようにしましょう。
具体的には「大判スキャン」などのキーワードで検索し、出てきた業者数社で相見積もりを取る事をお勧めします。大量の場合は、送料がかかってしまったとしても遠方の業者の方が安いケースもあります。スキャン業者の所在地にこだわらず、検討してみましょう。
相談の際は、お試しスキャンに対応している業者を選ぶのがおすすめです。出来上がったデータを比較した上で、質の高い大判スキャン業者を選べます。
見積もり相談する際は、
・スキャンしたい物の種類やサイズ
・予定枚数
・スキャンした後のファイル形式や解像度
・希望の納期
・原本の破棄をするか
のような点を事前に伝えるとスムーズです。
図面や書類が大量にあり分からない場合は、冊数や厚みなどから概算の見積もりをお願いすることもできます。実際の画像などを合わせて送ると、業者の方で判断しやすいためおすすめです。
2-3.解像度を下げる
業者によっては、特に高画質なイラスト画などで解像度を希望される場合、費用が変わる場合があります。
また、初めから解像度によって価格設定を変えている業者もあります。図面や資料については「PCでデータを見て、書かれている文字や数字が読めれば問題ない」「後に高画質で印刷できるようにしてほしい」など、用途に応じて必要な解像度で依頼しましょう。
容量が軽く、扱いやすいデータになることで費用が抑えられることもあります。
この場合も、解像度によって仕上がりがどの程度変わるのか、事前のお試しスキャンを依頼すると間違いがありません。
3.大判スキャンはセルフでもできる?
大判スキャンのサイズや形状によっては、自分で作業を行うことも可能です。ただし、業者に依頼した方が安くなる場合が多いので、枚数や内容に応じて検討してみましょう。
次に、自分で大判スキャンする場合の方法と、メリット・デメリットを見てみましょう。
3-1.大判スキャンできるお店を探す
大判スキャンのサイズは、主にA2、A1、A0、B2、B1、B0になります。
「コンビニのマルチコピー機を使えば安いのでは?」と思いがちですが、コンビニスキャンでできるのはA3サイズまでです。A3サイズをスキャンしたい場合、画質にこだわりがなく、手間を惜しまなければ1枚30円で利用できるコンビニのマルチコピー機の活用も良いかもしれませんが、A2以上のサイズや、画質にこだわりがある場合は、業者に依頼することをお勧めします。
ビジネスコンビニとも呼ばれる街のコピーサービス店では、100円~200円程度でA2サイズの白黒スキャンができる店舗もあります。いくらでスキャンできるか、事前に見積もりをお願いしておくと安心です。
3-2.大判対応のスキャナーをレンタルする
オフィス用品のレンタル業者やOA機器専門のレンタル業者を利用すると、大判サイズ対応のスキャナーをレンタルできます。
価格は業者や選ぶ機器によって異なりますが、20,000~50,000円/月程度が相場です。大量にスキャンする書類や図面がある場合は、レンタルで費用を抑えることができます。
しかし、注意しておかなければいけないのが、
・スキャナーの使い方を一から把握できないといけない
・人手が必要
・人を用意するとその分人件費がかかる
・レンタルしたスキャナーでスキャンできるのはシート原稿のみ
といったデメリットもあります。
図面や書類1枚あたりの費用だけでなく、全体で発生するコストを計算し、業者に依頼する場合と比較する必要があります。シート原稿以外のスキャンが必要な場合は、業者に相談しましょう。
3-3.大判専用のスキャナーを購入する
今後も頻繁に大判スキャンを行う予定がある場合は、思い切って購入するという選択肢もあります。本体価格の相場はピンキリですが、幅広いラインナップの中から自社に合った機器を選びましょう。
スキャナーを購入する際も、作業に必要な人件費やメンテナンスの手間などがあります。また、大型スキャナーを置くスペースも必要となるため、本当に購入して得があるのか、仕事上役立つのかを検討した上で、導入するかどうかを判断しましょう。
4.専門業者の大判スキャンはここが違う
個人や企業でも大判スキャンを行うことはできますが、業者に依頼すると多くのメリットがあるのが事実です。プロの大判スキャンはどこが違うのか、詳しく解説します。
4-1.作業スピードが圧倒的に速い
大判スキャン専門の業者は、日々多数のスキャニング作業を行っています。手作業では時間がかかるかさばる図面や書類も、最新の機器を駆使して短期間でスキャニングしてもらえるため非常に便利です。
重たい製本図面などをスキャニングする際は、作業の手間だけでなく、持ち運びや上げ下ろしの体力も求められますので、手軽に済ませるなら、業者へ依頼する方が良いでしょう。大判スキャンの際に、必要な書類や図面、作品などが手元から離れるため不安を感じることがあります。このような不安を解消するためにも、速やかにデータ化を進められるプロに依頼しましょう。
4-2.個別のスキャン設定で対応
古い図面や書類で線や文字が見づらくなっていることがあります。このようなものをスキャニングする際にも、専門店の中には個別に濃度の調整や地肌の調整を行った上でデータ化してくれる業者もあります。いつかよめなくなってしまう図面や書類を、できるだけ良い状態でデータ化したい場合は、事前に問い合わせて、どの程度対応してくれるか確認することが重要です。
本格的な補修が必要な場合や、スキャンデータを基に新しく製本し直したいという依頼に対応しているスキャン業者もあります。まずは問い合わせてみましょう。
4-3.スキャナーサイズを超えるサイズの対象物でもOK
大判スキャンをしたいけれど、A1サイズを超える大きな対象物だからできないだろうと諦めているという方はいませんか?
大判スキャン専門業者に依頼すれば、部分的にスキャニングした後にデータをつなぎ合わせて1枚のデータに加工してもらえます。巻物や掛け軸、横断幕のような横長・縦長の対象物、壁一面の大きな地図など、通常のスキャナーサイズを超える原稿は、大判スキャンに慣れた業者に依頼するのが最適です。
4-4.非破壊スキャンで原本を劣化させない
大判スキャンを扱う業者の一部が使用しているオーバーヘッド型のスキャナーは、対象物に触れずに、上部にあるカメラでスキャニングします。
これまでは、フラットベット型で手間をかけてスキャンするか、裁断するしかなかった製本された対象物も、オーバーヘッド型ブックスキャナーを持つ専門店に依頼すれば、破壊することなくデータ化できます。「冊子を安価で電子化したいけれど、原本はそのままの状態で手元に置いておきたい」という場合は、オーバーヘッド型ブックスキャナーを持つ専門店に相談してみましょう。
逆に原本が不要な場合、書類の破棄まで対応してくれる業者を利用すると、返送や処理の手間を省けて便利です。
5.まとめ
大判サイズのデータ化は、大判スキャンに慣れた業者に依頼することで、迅速かつ低コストで行うことができます。
「電子化の費用を抑えたい」
「できるだけ早く、大判スキャンを完了させたい」
「セルフではうまくスキャニングできない」
という方は、経験豊富なスキャン専門業者に相談してみましょう。
事前にホームページなどで実績を確認し、複数の業者で見積もりを取ることで、費用を抑えることができます。正確な見積もり結果を得るためにも、スキャン対象物の状態やデータ化の希望を丁寧に伝えましょう。
「量が多くてどう伝えたら良いのか分からない」という場合は、出張見積もりに対応しているスキャン業者も存在しますので、そういったところに頼むのがいいでしょう。
大判図面や書類、作品をデータ化することで、オフィスや書庫を整理することができます。対象物の劣化を防ぐことも、大判スキャンのメリットです。スキャニングを考えているものがある方は、それが汚れたり破損してしまう前に、早めにデータ化を進めましょう。